2008年6月8日日曜日

defamation

ネットはもちろん、口を開けば起こる可能性のある名誉毀損ですが、いろいろな意味で問題の多い法律だと、何人もの法律関係者が指摘しています。名誉毀損に対する賠償額は高額化していますが、被害者は裁判に勝っても十分に報いられたようには思えません。その一方、メディアの萎縮効果も確実に起こっています。発信した情報が本当のことであっても名誉毀損にはなります。むしろ本当のことであったほうが、名誉を傷つけた可能性は高くなり、具体的な損害がなくても、相手の名誉を傷つけたというだけでも名誉毀損は成立するのです。学校裏サイトでのいじめが社会問題になっていましたが、こうした中傷も発信者を特定して訴えれば賠償請求できるケースです。解決策がないと言われていますが、片っ端から名誉毀損裁判が起こされはじめたら、親としては子供をほっておくわけにはいかなくなります。悪質な書き込みだった場合は民事では済まず、刑事事件になる可能性もあります。いじめられている子供の親としては、子供を裁判に巻き込むことの是非もあり、望ましいかどうかはともかく不当なことには断固戦うという姿勢も必要だといえます。しゃべったことでも名誉毀損は成立するのですが、立証するのが難しい、しかし最近はブログやメールなどログが残るものが多く訴える環境は整っています。訴える側はそれを裁判所に言えばいいだけで、名誉毀損でないことを証明する責任は情報発信者にあります。名誉毀損になるかどうかは、裁判官が言論の自由についてどう考えているかということだけではなく、裁判官の感覚によるところも大きいようです。裁判官のあたりはずれによって勝ち負けが変わるというのは、他の裁判でもよくあることですが、特に名誉毀損は基準があいまいで、裁判官の裁量による部分が多いといえます。こうした裁判官の判断には、世の中のムードも大きな影響をあたえるようで、世の中が表現の自由は大事だと考えれば、裁判所も名誉毀損の適用に慎重になる。しかし、世の中が表現の自由よりもプライバシーの問題のほうが切実な問題として感じていれば、そうした判決がでるようになるようです。有罪になるならないは別として、うっかり名指しで誰かを中傷するのはなるべく避けるのが無難な世の中だと言えます。

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